関西外国語大学の南村圭哉外国語学部准教授が、年金分割制度が離婚率と家計の経済活動に与える影響について分析した論文を発表した。
南村准教授は、シミュレーション分析を行い、年金分割制度が離婚率を上昇させ、貯蓄率の低下を招くことや、離婚後の女性の消費量が増加することなどを明らかにした。

具体的には、年金分割制度により、離婚率が上昇し、離婚後の女性の消費量は増加する一方、男性の消費量は低下するという結果が得られた。
南村准教授は「制度開始以前は、専業主婦は離婚後に受け取れるのは国民年金だけで、経済的問題から離婚を選択する際の障壁となっていた」と指摘。制度開始により、男女間の離婚後の経済格差が縮小され、特に女性に有利に働く一方、男性にとっては離婚がしやすくなる可能性があるとしている。
厚生労働省の調査によると、2022年度の離婚件数は18万583組だったのに対し、年金分割を使ったのは1万1034件と6組に1組にとどまっている。