NRI社会情報システムが全国のシルバー人材センター会員1009人(65歳以上の男女)を対象に実施した調査で、シニア世代の現在の不安や悩みが明らかになった。
シニアが現在直面している不安や悩みの1位は「自分の健康」で、回答者の約3人に2人(65.0%)が不安を抱えていることがわかった。続いて「老後の生活費・経済的なゆとり」が48.0%で2位、「配偶者の健康や介護」が40.1%で3位となった。その他、経済負担に直結する「家の老朽化」が4位など、健康面と経済面の不安や悩みが上位となった。
自分自身の健康度を聞いた結果、「まあ健康である」「非常に健康である」を合わせて87.4%が健康であると回答した。

現在の健康状態別に、健康維持・増進のために現役時代どのような取り組みをしていたかについて見ると、「非常に健康である」と回答した方は、「健康診断等を定期的に受診する」(53%)、「屋外での軽い運動」(51%)、「趣味を持つ」(43%)、「気持ちをなるべく明るく持つようにする」(42%)といった項目が他の層よりも高い割合で実践されていた。精神的な健康維持(気持ちを明るく持つ、趣味を持つ)や、予防的な行動(定期的な健康診断)が、現在の良好な健康状態に繋がっている可能性が示唆される。

一般的にはスポーツをすることは健康によい、と考えられているが、同調査においては現役時代にスポーツをしていたかどうかは現在の健康状態に関係がないという結果だった。

今後の生活資金について「十分足りている」と回答したのはわずか4.9%に留まり、「十分とは言えないが足りている」と回答した41.3%を合わせて、老後資金が「足りている」と回答した方は全体の46.1%であり、過半数は「不足している」と回答した。80歳以上の方の回答では、「足りている」比率が若干上昇し、51.5%となるのは、年齢が上がるほど残りの人生に必要な資金が少なくて済むと認識していることを表していると推察できる。

今後の生活資金の過不足感別に、現役時代にどのような資産形成を行っていたかを見ると、今後の生活資金が「足りている」と回答した方は、「やや不足している」「全く不足している」と回答した方より「個人年金保険」「株式」「投資信託」「債券」「外貨預金」など、より計画的・積極的な資産形成方法に取り組んでいた。また、「足りている」と回答した方は「財形貯蓄」「勤めていた会社の持株会やストックオプション」のように勤務先企業が提供する資産形成方法を積極的に活用していた。

友人・知人との人間関係では、「地域・隣近所の人」「趣味で知り合った友人」において相対的に「非常に良好」「まあ良好」と回答した比率が高く、「職場関係の付き合い」「学生時代の友人」では相対的に低めになった。全般的に75歳以上の方が74歳以下より人間関係が良好になる傾向がある。

現役時代の友人・知人関係の各種集まりへの参加頻度と、その集まりに関係する友人・知人の現在の人間関係を見ると、人間関係が良好なほどその友人・知人に関係する集まりへの参加頻度が高いという結果になった。また、友人・知人との現在のコミュニケーション頻度(対面だけでなく、メールや電話、メッセンジャー等も含む)との関係を見ると、人間関係が良好なほどその友人・知人とのコミュニケーション頻度が高い傾向にある。集まりへの参加も含めた友人・知人とのコミュニケーション頻度が、現在の人間関係の良好さに大きく関係している。

【調査概要】
調査名:「シニア世代に学ぶ現役時代の過ごし方」に関するアンケート調査
実施時期:2024年10月5日~2024年11月5日
調査対象者:全国42か所のシルバー人材センター会員の65歳以上男女
対象者割付:男女・65~69歳、70~74歳、75~79歳、80歳以上で発送時に均等割付
地域区分、都市規模区分は令和5年住民基本台帳に準拠
調査方法:郵送法(紙調査票)
回収率:97.9%
有効回答数:1,009
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